症状という名の冤罪
2015/03/03
頭痛、発熱、咳、鼻詰まり、下痢、腹痛・・・どんな症状でも辛いものです。症状が辛いと薬を飲む。全く当たり前の行為だと思われがちですが、実はとんでもない誤解をされている方が多いのです。風邪を引かれるととりあえず市販薬を飲む方もおられると思います。というより、飲まない方の方が少ないのかもしれませんね。総合感冒薬に始まり、頭痛薬、咳止め、鼻水止め・・・。薬局に行くと数え切れないほどの種類があります。この時期、テレビを見ていても風邪薬のCMを見ない日はありませんよね。それだけ需要が多いのも事実です。
辛い症状を除去することは当たり前のことだと思われるかもしれませんが、実はその症状こそ身体が身を守るために行っている大切な防御反応なのです。症状を止めてしまうということは、身体が外敵から守っている行為を止めてしまうことに他なりません。
少し例を挙げてみます。
♦発熱
ウイルスは体温が低いと活性化しやすく、37°を超えると活動が鈍くなると言われています。一方、我々を守っている軍隊(=免疫)は、37°を超えると活性化します。発熱することで身体は味方の軍隊が活動しやすい環境を作っているのですね。発熱は外敵が侵入して勝手に上がる訳ではなく、侵入した外敵から身を守るために身体自身が上げているのです。折角味方の軍隊が活動しやすい環境を作っているのに、解熱することでわざわざ外敵が動きやすい環境に戻してしまっている訳です。
おかしいですよね。
♦咳
外敵に侵入されると、それ以上援軍が来られると困りますので咳をすることによってそれ以上の侵入を防ぎます。また外敵との戦いで発生した残骸を外に吐き出す役目もしています。
それを止めてしまうと・・・。
♦鼻水・鼻詰まり・クシャミ
これも外敵の侵入を防ぐための手段です。鼻の粘膜は腫らすことによりそこに血液を集め外敵に備えます。また鼻水を多量に出すことでそれ以上の侵入を防ぎ、クシャミで外へ弾き飛ばします。
その機能を止めてしまい鼻が気持ちよく通ってしまうと・・・。
♦食欲低下
我々は身体を維持するために必要な物質を補給するために食事を取る訳ですが、その消化吸収には大変多くのエネルギーを必要とします。口から入ってくるものは人体にとって全て毒と言っても過言でなく、その証拠に直接血管内に入れると生きてはいけません。その毒の中から人体に必要なものだけを取り出すために消化(分解)し吸収する訳ですが、そこは何重もの厳重な警備がなされ、最大の警戒をしています。風邪を患って食欲が低下する方は、身体の警備のために分配されているエネルギーだけでは外敵に対応できなくなり、消化のために分配されているエネルギーも身体の警備の方にまわしてしまうため本来の消化活動が行うことが出来なくなり、入ってくるものを制限するために食欲低下が起こります。
元気な人(余力のある人)はエネルギーにも余力があるため、風邪を引いたくらいでは食欲は落ちませんよね。
♦関節の痛み
筋肉の活動や頭の活動にもかなりのエネルギーが消費されます。食欲を低下させてもエネルギーが不足していると、身体は様々な動きを止めてエネルギーの節約を行います。そうすることで、少しでも多くのエネルギーを身体の警備にまわすようにします。身体の活動を止めるために関節を痛くし、頭の活動を押さえるために頭がぼうっとしてくるのです。
身体は様々な外敵に対応するため、様々な対処法を備えています。症状というのはその対処法の結果起こってくるものだともいえます。症状を止めてしまうということは、身体が身を守るために行っている行為を妨げてしまうことにもなりかねません。
本来動物は、体調が優れないと飲まず食わずでじっとして体調の回復を待つのですが、残念ながら我々は日常の忙しさに追われ中々ゆっくりとは休んでいられないのが現状です。我々にも自然治癒が備わっているにも関わらず、それが活用できていないことは本当に残念なことです。症状を抑え込んでしまうことで、逆に風邪が中々治らないっていうことも少なくありません。
症状を抑えることで身体にはマイナスの影響があるということを知っていただき、薬の使い方も考えていきたいものですね。
颯鍼灸院
上田貴弘